開店休業 インデックス投資Way

霞が関で働く国家公務員が、資産運用・NISA・iDeCo(個人型確定拠出年金)など、おカネについて綴ります。

再考、なんのために投資をするのか

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インデックス投資を行うようになって早10年。改めて「自分はなんのために投資をするのか」を考えてみたいと思います。

これまで「早期リタイアしたい」とか「豊かな老後を過ごしたい」などと漠然と考えてはいました。ただ、これらの考えは、「投資をしている理由」としては、どうも自分の腹の中で完全にストンと落ちていませんでした。

そんな折、小説「永遠のディーバ -君たちに明日はない4-」垣根涼介著。単行本「勝ち逃げの女王」の文庫化にあたり改題)の中の一節に目が留まります。

人間、もう必要とされなくなった場所に居てはいけないんだよ。だったら、そんな場所はとっとと捨てて新たに必要とされる場所を探したほうがいい(p123)

これは、物語中、経営破たんした「山三証券」の元証券マンが、潔く退職を受け入れた理由を主人公に語る場面での台詞。たかが小説(フィクション)の一節に過ぎませんが、私の心にはとてもズシリと響きました。

 

というのも、早かれ遅かれ、いつかは自分も組織から戦力外通告を受けることになるからです。

私が勤務する霞が関は、比較的「選抜」が遅いことで知られています。つまり、ある程度のポジションまでは同期横並びで出世する可能性が高いわけです(よほどのヘマをかましたり、体調を壊したりしなければ)。この慣行はモチベーションを長期間維持させるためだと言われていますが、それでもポストには限りがあるので、やがて一人ひとりに順次「不要」の烙印が押されていくことになります。

もし自分がそうなったときにどう立ち振る舞いたいかを考えたとき、組織(天下り先を含む)に残るのではなく、「自分をもう必要としなくなった場所から立ち去る」という選択肢を持っていたい。

そのために、積み重ねてきた知識や経験と同じくらい重要となってくるのが、経済的な基盤ではないかと思うのです。

経済的な基盤があれば、どれだけ給与水準が下がったとしても、自らを必要としてくれる場所へと一歩踏み出す勇気を持てるハズ(その場所が、会社なのか、NPOなのか、はたまた町内会なのか、見当もつきませんが…)。

この小説の一節に出会い、「自分が投資を通じてせっせと資産形成に励んでいるのは、まさにこのためなのかな~」ということを認識したのでした。

なお、以上の私の考えは、組織に残って仕事を続ける人や関連団体へ再就職する(天下る)人を全て否定するものではありません。いくつになってもその場その場で求められながら、行政に関わって活躍している先輩はたくさんいます。為念。

 

小説「君たちは明日はない」はおススメ

リストラ面接官が主人公の小説「君たちに明日はない」シリーズについては、これまで3作品を読んでいました。しばらく昔のことだったのでその存在を忘れていましたが、先日のmushitoriさんの次の記事で、残り2作があることを知りました。

最近読み終わった4作目には、紹介した元証券マンの台詞以外にも、胸を熱くさせる内容が盛りだくさんでした。働く人間は、その仕事を辞めるかどうかという極限に直面したときに、初めて働くことや生きることについて見つめ直すのかもしれません。完結編となる5作目を読むのはこれからですが、どんな気付きや感動が得られるか、とても楽しみです。

 

ドラマ版も良かった!

また、「君たちに明日はない」は今から7年前にNHKでドラマ化されています。原作となったのは小説シリーズの1作目・2作目です。

私が小説を読んでみようと思ったのもドラマがすごく面白かったからですが、ドラマの中で未だに記憶に残っているのが、北村有起哉さん演じる山下が放った「間違いない。池田は半端なく優秀なバンカーだ…!」という一言(第4話「旧友」。細かい表現はうろ覚え)。かなりマニアックかもしれませんが、個人的にこのシーンにはとても痺れたので見ものですよ。