開店休業 インデックス投資Way

霞が関で働く国家公務員が、資産運用・NISA・iDeCo(個人型確定拠出年金)など、おカネについて綴ります。

それでも家を買いました 第3話「急転」

中古マンション探しで意見が一致しない妻と私でしたが、たまたま手にした新築マンションのパンフレットの中に、ひとつ気になる物件を見つけました。

それは、これまで夫婦2人とも住んだことのない街に建つ5階建てのマンション。駅徒歩5分、霞が関まで地下鉄で一本という条件はなかなかのもの。極めつけは、いくつかある部屋のタイプの中に「リビングが長方形で広い」というものがあったこと。これは妻が強くこだわっていたポイントでした。私が推していた中古マンションに妻がネガティブな態度を示していたのは、「リビングが歪な形で狭い」という点が気に入らなかったそうなのです。

勢い余った妻と私は早速モデルルームを観に行きました。モデルルームに行くのは初めての経験でしたが、たまたま気に入ったタイプの部屋を想定したものだったため、具体的な生活イメージを持つことができました。竣工前にモデルルームとは違うタイプの部屋に決める方も多いと思いますが、それは半ば想像で家を買うということであり、かなり勇気の要ることかもしれません。気の小さい自分にはとてもできそうにない…。

モデルルームはお洒落で綺麗で優雅で、とても魅力的でした。中古マンションを紹介してくれた営業マンの方が「モデルルームは上手に装飾されていて、5割増しくらいで部屋が立派に見えるので要注意」と教えてくれましたが(焦りもあったのでしょう)、まさにおっしゃるとおり、確かにこれでは誰もが素晴らしい新生活を想像してしまいます。ただ、そのことをたっぷり差し引いてもなお、自分には良い部屋だと感じられました。これまで一貫して慎重姿勢を崩してこなかった妻もすっかり気に入った様子。

そして気になるお値段。希望する階の部屋の価格は、見てきた中古マンションより幾分高いのですが、エリア面で条件が劣るため、「何とかなるか」という水準でした。その部屋は、既に先約が入っていたものの住宅ローンの審査が通らず、今後「キャンセル住戸」として先着順で販売されることになるとのこと。「今は先着順販売として公開する前。公開すれば早い者勝ちになりますが、今ならまだ非公開です。一週間待ちます」ということで、いきなり決断を迫られることになりました。 おそるべし、営業上の駆け引き…。

初めて見た新築マンションのモデルルーム。それが「ベストな選択肢」であることは滅多にないと思いますし、実際もそうだったのでしょう。もっとゆっくり考えたかったのが本音ですが、一方で、ここに至ったモメンタムを活かさなければ、あれこれ悩み続けてずっと引っ越しができないかもしれない。結婚と同じで、家を買うのも最後はやはり「勢い」ではないか。

後日、モデルルームをもう一度見学して、夫婦で熟議を重ねた結果、購入を決意。新築マンションと言えば、ドラマのワンシーンのように、「希望の部屋を申し込む」→「抽選する」→「やった!当たった!契約だ!」という手順を思い描いていたので、やや残念?でしたが、こうして妻と私の住まい探しは幕を閉じたのでした。

ちなみに、検討はマンション一択で、一戸建はほとんど眼中にありませんでした。そもそも我が家の予算を前提とした場合、職場近くで2階建の家を買うことはほぼ不可能。そうすると、狭い敷地での3階建の一軒家という選択肢に限られてくるのですが、それはすなわち、1階はお風呂と洗面所、2階はリビング、3階は寝室などといった間取りとなることを意味します。生活動線を考えると、行ったり来たりを強いられるよりも、フラットですべて済ませられる方が便利かな、というのが私の考えです。

というわけで、紆余曲折ありながら、案外すんなりと物件の契約に至ったわけですが、竣工後の引き渡し時までに全額のお金を工面することが必要となります。それは、頭金をどれくらいまで出すか、そして残りをどのような住宅ローンで賄うかという問題なのです。(つづく)

 【シリーズ過去記事】

それでも家を買いました 第1話「宿舎」

それでも家を買いました 第2話「中古」

それでも家を買いました 第2話「中古」

子どもが生まれるのを機に引っ越しを考えた我が家、まずは中古マンションを探すことにしました。

義親から紹介された私鉄系不動産会社の営業マンに、こちらの希望に合った物件を30くらいピックアップしてもらい、そのうち気になった6つのお部屋を見て回りました。部屋の中まで見ることができたのは3つで、売り主さんが居住中のものが2つ、残りの1つは空き家物件でした。

売りに出しているのに部屋を内覧できないとはどういうこと?と思いますが、外出や部屋の清掃といった物理的な都合であったり、他人を家にあげる以上「本気で検討してくれる人」でなければお断り!といった心情的なものであったり、事情は様々のようです。

見て回った6つの中古マンションの中で一番気に入ったのは、築5年(当時)の物件。地上15階建ての5階のお部屋で、駅徒歩3分、角部屋、リビングは南向きで陽当たり良好、広さもまずまず、職場へのアクセスもまあまあという好条件。特に、自分が学生時代に一人暮らししていた街から近かったため、私は強いノスタルジーを感じ、内覧からの帰り道にはもう「あの家に住みたい」という気分でした。

しかし、妻がどうも乗り気でない模様。理由を聞くと、リビングが狭い、部屋の形が変則的で家具の配置に苦労しそう、とのこと。家は人生で一番大きな買い物、全会(夫婦2名)一致は大原則ですので、残念ながらひとまず「保留」となりました。

営業マンが紹介してくれる物件のネタは既に尽きています。「でももっと他にいろいろ見てみたい」という妻、「あそこでいいじゃないか」という私。ガップリヨツのまま事態が膠着する中、たまたまとある中堅不動産会社のパンフレットを手にする機会がありました。そこには新築マンションのラインアップが掲載されており、そのうちの1つのマンションに妻と私の4つの目が留まります。(つづく)

【シリーズ過去記事】

それでも家を買いました 第1話「宿舎」

それでも家を買いました 第1話「宿舎」

いま、私は3年前に購入したマンションに住んでいます。これから何回かに分けて、私の住まい探しの体験談あれこれ、特に失敗談などを記事にしていきたいと思います。

ちなみに記事のタイトルは昔のドラマ名から拝借。1991年のドラマということで、キャストの皆さんがとても若いけど、いろいろ古い…。

tod.tbs.co.jp

自分がこのドラマを観たのは平日夕方にやっていた再放送時のものだったと思います。もはや内容はほとんど覚えていませんが、分譲マンションのモデルルームを見学した田中美佐子さんが「ねえ、申し込む?」と夫(役)の三上博史さんに尋ねるシーンがたびたび登場したことだけは未だに記憶に残っています。

さて、話を本題に戻します。私、家を買うまでは、2LDKの賃貸マンションで妻と二人暮らしをしていました。家賃は114,000円。「住居手当」という名の家賃補助が27,000円あったので、実質負担額は87,000円でした。当時、妻が出産を控えており、家が手狭になるだろうということを大きな動機として、引っ越しを検討することにしました。

まず、引っ越し先の家を「買うか借りるか」ということになるわけですが、国家公務員には「公務員宿舎」という第3の道もありました。私自身、公務員宿舎に入居したことはありませんが、独身用・世帯用、新しい・古い、霞ヶ関から近い・遠い、駅から近い・遠い、広い・狭い等々、バリエーションはある意味豊かです。基本的に「宿舎に入りたい」という希望しか出せず、どこの宿舎があてがわれるかは蓋を開けてみないと分からないようです。

このため、「宿舎が決まったのは良いが、場所が武蔵村山だった…」ということも珍しくありません。一方、幹部ともなればそれなりに都内中心部の宿舎に入ることができるようです。一般的には「公務員優遇」の象徴とされる公務員宿舎ですが、その差は本当に激しいのが実情だと思います。

また、現在、宿舎の使用料(いわば賃料)は段階的に引き上げられています。引上げ後の姿はこの資料のとおりですが、まだまだ優遇と言われてもおかしくない水準で、将来的には更なる引上げもありそうです。

そんな中、我が家は、早々にこの宿舎という選択肢を落としました。仕事が忙しく、仮に遠い宿舎になったときに体力が持たないと思われたことが主な理由です。また、妻が他の公務員家庭との近所付合いを忌避したというのも大きな要因でした。

その後、今より広い場所に引っ越したい→でも今より職場から遠くなるのは嫌だ→そしたら賃貸の場合は家賃は上がるね→だったら買うか!と話が進んでいきました。すると、直ちに「中古か新築か」という2択問題が登場するわけですが、私と妻は、予算的な制約から中古マンションを探すことになります。(つづく)

はじめての確定拠出年金投資(大江英樹著)を読了

元証券マンで経済コラムニストの大江英樹氏の確定拠出年金解説本を読みました。 

はじめての確定拠出年金投資

はじめての確定拠出年金投資

 

この本の特徴は、何よりも「すぐに読めて分かりやすい」ということに尽きます。職場への行き帰りの電車の中だけで、2日で読み終えました。所要1時間半~2時間弱くらいでしょうか。本を読むスピードがあまり速くない私でもそうなのですから、きっと誰にとっても気軽に読めるのだと思います。

そのハードルの低さから、まったくの投資初心者がまず最初に確定拠出年金のことを知るために手にする本としては最適です。さらに詳しいことを知りたければ、竹川さんの本なりにステップアップすれば良いと思います。

また、個人的に面白いなと思ったのは、「リスク許容度」を決める要素として、「保有資産の額」と「リスク耐性」の2つを挙げている点です。「リスク許容度」という用語、つい最近まで曖昧な理解のまま使ってきましたが、2つの要素があるという考え方は腹に落ちました。強いて他に付け加えるなら、自分の職業と家族事情の2つくらいでしょうか。

これまで、iDeCo確定拠出年金に関連する本を4冊紹介してきました。残る代表的な本は、井戸美枝さん、山崎元さん、朝倉智也さんの三氏のものでしょうか。ここまで来たら残る3冊も読んでみたいと思っています。

そうだ リスク、確認しよう(後編)

前編では、いま私が保有しているポートフォリオの期待リターンとリスクをはじき出しました。

  • 期待リターン (年率)5.60 %
  • リスク (年率)18.19 %

詳細はグーグル先生に委ねたいと思いますが、統計学の理論では、「正規分布をなす標本の平均値からの数値のバラツキは、約68%が平均値から±1標準偏差以内に、約95%が平均値から±2標準偏差以内に収まる」とされているそうです。

このため、「証券投資におけるリターンのバラツキは正規分布に従う」と仮定すれば、(平均値=「期待リターン」、標準偏差=「リスク」のことなので、 )今回はじき出した上記の数字は、1年後、自分の資産が、

  • 約68%の確率で、-12.59%から23.79%までの幅に収まる
  • 約95%の確率で、-30.78%から41.98%までの幅に収まる

ということを意味します。

「幅に収まる」とありますが、この数字を活用するうえで見るべきは「悪い方」の数字です。例えば、「-30.78%」ということは100万円の資産が69万円くらいに減るということであり、覚悟しておくべき具体的な最大損失額をイメージすることができる、というわけです。

ただ、この点は自分でも理解しきれていないのですが、あくまで「幅に収まる」ということなので、「じゃあ、-30.78%になるのは何%の確率なのか?」ということまでは分かりません(たぶん)。投資を開始して以降、日経平均6000円台、NYダウ8000円台などの大暴落を記憶している身としては、今後、一時的に-50%くらいになることがあっても決しておかしくないと考えておいた方が良さそうです。

最後に。今回、リスクを確認すべく、あれこれ作業したり、いろんなブログを拝読したりするうちに、また目指すべきアセットアロケーションを設定し直そうかなと考え始めました。具体的には、もう少し新興国株式クラスの割合を増やすという、リスクを知ったうえでの「逆方向」をイメージしています。

昨年11月にブログを開始して4か月で早2回目のアセットアロケーション見直しと相成ります。見事に朝令暮改な自分に嫌気がさすばかりですが、むしろこれまであまりにも考えていなかっただけなのだ、と言い訳しておきます。もう少しだけ試行錯誤して、理想のアセットアロケーションを見つけたいと思う今日この頃です。 

そうだ リスク、確認しよう(前編)

投資を始めて10年選手になる私、恥ずかしながら、これまで自分の資産のリスク*1というものを指差し確認したことがありませんでした。

ブログを開始して以降、先輩ブロガーの記事をいくつも読むようになりましたが、多くの方が、投資するにあたり、ちゃんとリスクを確認したうえでアセットアロケーションを設定しているではありませんか。

そんな折、今年1月末、超著名ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」の水瀬ケンイチさんが以下のブログ記事を投稿されます。

randomwalker.blog19.fc2.com

私は10年来の「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」の愛読者ですので、「相場が好調なうちに、保有しているポートフォリオのリスク(標準偏差)が、自分のリスク許容度の範囲内におさまっているかを確認しておくべき」という一文は、実は幾度となく目にしています。それなのに、これまで「自分は大丈夫」「面倒だし」などとスルーしてきたわけですが、遅ればせながらこの金言を重く受け止め、自分も資産のリスクを確認することにしました。

ということで、まずは現在保有しているポートフォリオの再確認です。昨年12月末時点のものを流用します。相変わらず拙い円グラフが登場します。

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私の場合、生活防衛資金を確保したうえで、すべてリスク資産、それも株式クラスに投資しています。妻が無リスク資産重視派なので、結果的にバランスが取れているともいえます(夫婦円満である限り、ですが)。

リスクは「ファンドの海」というブログの「長期投資予想/アセットアロケーション分析」を使って計算しました。ブログの存在はかねてより知っていましたが、実際にこのツールを使うのは初めてとなります。

guide.fund-no-umi.com

すると、出ました。

  • 期待リターン (年率)5.60 %
  • リスク (年率)18.19 %

これが何を意味するかは、諸先輩のブログや投資関連の本を読んできたので、だいたいは分かっているつもりです。続きは後編で!

*1:ここでいう「リスク」とは、「結果が不確実であること」、つまり、「リターン(収益)の振れ幅」のことをいいます(一般社団法人投資信託協会ウェブサイトより)。

誰でもできる確定拠出年金投資術(山崎俊輔著)を読了

ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏による確定拠出年金の解説本を読みました。新書で、サブタイトルは「ほったらかしで『年率10%』を目指す方法」とあります。著者は、現在、日経電子版に「人生を変えるマネーハック」という連載をお持ちで、私もよく拝読しています。 

(079)誰でもできる 確定拠出年金投資術 (ポプラ新書)

(079)誰でもできる 確定拠出年金投資術 (ポプラ新書)

 

資産運用やiDeCoにはそこそこ詳しくなってきた私にとって、本書もまた発見・再発見の契機となる一冊でした。

確定拠出年金の制度に関する解説についてはコアの部分が中心であり、あえて細部には踏み込んでいないようです。その一方で、繰り返し分散投資やリバランスに触れ、リスク管理の重要性を説いてくれています。

このため、個人型、企業型に関係なく、確定拠出年金の入門書として十分為になる以上に、資産運用に関心がある方にとって有益な情報が満載であり、とても「誠実」な投資本という印象を受けました。

ちなみに、本書では、信託財産留保額がかかる投資信託を「購入候補から除外」するとしています。「確定拠出年金のスタンダードでは、・・・信託財産留保額ゼロが当たり前になっている」とのことですが、長期保有を前提とすれば、短期で解約する人が負担してくれる一方で、自らの負担は将来の解約時まで繰り延べできるという意味で、信託財産留保額は「ありがたいコスト」といえます。

私自身は、投資信託の選定に際して信託財産留保額のことは全くと言っていいほど気にしておらず、あってもなくても購入の対象としています。