先日、「つみたてNISAフェスティバル2017」(以下「つみフェス」)に参加してきました。
つみフェスは、来年2018年1月からスタートする「つみたてNISA」に関する、個人投資家向けのイベントです。金融庁はこれまでも何度か個人投資家との意見交換会を開いてきましたが、今回が集大成の位置づけだったのではないでしょうか。
つみフェスの具体的な中身については、詳細で分かりやすいレポートが既に出されていますので、そちらに譲らせていただきます。
「つみたてNISAフェスティバル 2017」レポート。制度の普及に向けた金融庁の意気込みを見た。 (じゅん@さん)
「つみたてNISAフェスティバル2017」に参加。市場に残り続けることの重要性を再認識 : インデックス投資で長期航海 (柴崎シュンスケさん)
金融庁の「つみたてNISA」は、投資がはじめての人を資産形成に導く制度。 | 低コストの投資信託で資産形成 | LoLo Investors (なるたくさん)
で、私はと言えば、このイベントに参加して、「金融庁やるな!」と感じたこと、そして、「つみたてNISA」を使おうと決めたことを記したいと思います。
つみフェスは新しい発想の広報イベント
誰のためのイベントか
つみフェスは、その枕に「個人投資家のための」とあります。つまり、あくまで訴求対象は個人投資家であり、これから投資を始めようという人々ではありません。
つみフェスは確かに広報イベントには違いありませんが、一般の人々を集めて「つみたてNISA」を周知啓発するイベントではなかったのです。
実際のプログラムの内容も、投資や資産運用についてのある程度の知識がないと理解が難しいものでした。また、税制改正要望のベスト5を、著名な投資ブロガーである虫取り小僧さんから発表する形式とするなど、個人投資家を強く意識した構成となっていました。
投資初心者も経験者も一緒に集めるとなると、どうしても焦点がぼやけてしまい、双方にとって中途半端な内容となりかねません。そうした意味で、今回、つみフェスを個人投資家に特化したイベントとしたことは成功だったのではないかと思います。
金融庁の狙い
しかし、金融庁の真の狙いは「つみたてNISA」を広く一般、特に投資初心者に周知して裾野を広げていくことです。
そこで、イベントに参加した個人投資家が発信するブログやツイッターを通じて、「つみたてNISA」を世間に浸透させていこうとしたのではないかと思うのです。
当日、ツイッター上で「つみフェス2017」というハッシュタグがトレンド入りしました。「何だこれ?」とクリックした人も多いはずで、「つみたてNISA」という8文字が投資や資産形成に無関心な人の目にも留まったことは大きな意味があります。
このような金融庁の発想には(狙ったか偶然かはともかくとして)思わず「新しい…!」と唸ってしまいます。
ターゲットでありながら「興味・関心がない層」をどうやってイベント会場まで連れてくるのか、というのはとても難しい課題です。しかし、そうした層をイベントに集めることは潔く諦める。その代わり、個人投資家を起点として、SNSなどを通じてジワリジワリと「つみたてNISA」の普及を図っていく。
最初はサブリミナル効果を狙って、人々の潜在意識に植え付けるだけでも十分でしょう。金融庁の「次の一手」に注目したいです。
古典的なiDeCoのイベント
ちなみに、ライバル?であるiDeCoのイベントとしては、こんなものがあるようです。
iDeCoシンポジウム2017 ~老後のためにいま、できる、こと。 iDeCo ~
ターゲットは、年金も資産運用も投資もあまり知らない一般の方々で、典型的な「広報イベント」と思われます。ご当地の芸人やタレントを活用して多くの人に来てもらおうとしていますが、つみフェスと比べるとどうしても古典的な内容・構成に見えます。
これでうまく集客できているのか、「iDeCoの周知啓発」という目的が達成されているのか、実績が気になるところです。
私、「つみたてNISA」しまーす!
実は、今回のイベントに参加するまで、来年から「つみたてNISA」を使うことに迷いがありました。年間投資上限が40万円という点に物足りなさを感じていたのです。
しかし、当日、会場で配布・説明された次の資料が最後の決め手となり、現行NISAから「つみたてNISA」に鞍替えすることにしました。
これは、あくまで過去の実績ではありますが、保有期間が20年に及ぶと投資収益率はプラスになっているというデータです。
つまり、「非課税期間満了後にマイナスになっていても損益通算できない」事態となる可能性が小さいということ。これはなかなかの安心感につながります。
もちろん「非課税期間の恒久化」が実現すれば、この問題は解決するわけです。
いま大切なのは、ブログやツイッターをしている個人投資家ができる限り声をあげ、金融庁と一緒になって「つみたてNISA」を普及させていくこと。念願の税制改正はきっとその先にあるのだと思います。