下記のサイトでは「働き方・暮らし方の変化に応じて、将来受給可能な年金額を簡単に試算できるツール」とあります。
「将来、自分はいくらくらい年金もらえるのか?」というのは多くの人の関心事項だと思います。
でも、新聞に出ているモデル年金は前提が違いすぎて参考にならんし、「ねんきんネット」はIDやパスワードを郵送してもらう必要があって面倒。
こうした課題を解決しようとする試みが、公的年金シミュレーターなのです。
なお、主導したのは、衆議院議員の村井秀樹 内閣総理大臣補佐官だそう。
村井議員と言えば、つみたてNISAフェスティバル2018で金融庁担当の大臣政務官として挨拶されたことが記憶に新し…くもないか。
さて、そんな公的年金シミュレーターとは一体どのような代物なのでしょう?
こんな代物
公的年金シミュレーターの骨格は、「これまで」と「これから」の働き方・暮らし方、年金の受給開始年齢などから、将来受給できる年金の見込み額を試算する、というもの。
「これまで」というのは、言わずもがな、公的年金に加入する20歳から現時点まで。
ねんきん定期便の二次元コードを読み取ることにより、過去の年金加入期間や標準報酬月額等の情報を取り込んで試算に用います。
もし二次元コードを読み取れない場合は、何歳から何歳までどのような働き方・暮らし方をしていたかのデータを直接手入力することになります。
「これから」については、自身の予測をもとに今後想定される働き方・暮らし方を手入力します。
こうして、将来受給できる年金の見込み額が画面上に表示されます。
しかし、公的年金シミュレーターの機能はこれに留まりません。
試算結果の表示画面で「今後の年収」「就労完了年齢」「受給開始年齢」をスライドバーで動かすことで、年金見込み額が変化するのを一目で確認することもできるのです。
こちらが実際のスマホの結果表示画面です。
スクショで下の方が切れていますが、下部には「※あなたの年金受給見込み額は生涯受給できます。」との注釈もあり、年金を終身にわたり受け取れることもさりげなくPRされています。
使ってみた感想
公的年金シミュレーターをあれこれ使ってみて、感じたことは次の3点です。
1. 大胆に簡素化!
まずは「いいね!」と思ったことから。
年金制度は非常に複雑であり、年金額の試算も、様々な前提条件を置いてようやく可能となります。
しかし、公的年金シミュレーターでは、制度の細かいところは大胆にカットして、なるべくシンプルにしようという姿勢が徹底されています。
ウェブサイトでも次のような記載があり、「ねんきんネット」との棲み分けを図っています。
公的年金シミュレーターは、年金額を簡易に試算することを目的としており、実際の年金額とは必ずしも一致しません。より正確な年金見込み額の確認をする場合には、日本年金機構の「ねんきんネット」の活用をご検討ください。
「難しそう」とのイメージが強い年金への心理的障壁をなくす試みでもあり、これ自体は評価できると思います。
2. 最初に動画を観るべし!
公的年金シミュレーターは「ID・パスワード不要で、簡単に試算できる」という触れ込み。
このため、「ネット生保の保険料試算」のようなノリを想像していましたが、大きな間違いでした。
自分の場合、特に「働き方・暮らし方」の直接入力で試行錯誤するハメに。
すなわち、「働き方・暮らし方」については、例えば、学生→会社員などと立場が変わる場合は複数の入力が必要になるのです。
このことがしばらく理解できず途方に暮れましたが、以下の「使い方動画」を観てようやく何とかなりました。
慌てて使う前にちゃんと視聴することを強くおすすめします。
なお、二次元コードを使って入力する場合の使い方動画もあります。
いずれも丁寧な作りで、かなり分かりやすいと思います。
3. 二次元コードの利用が肝!
繰り返しとなりますが、公的年金シミュレーターは、「これまで」と「これから」の働き方・暮らし方、年金の受給開始年齢などから、将来受給できる年金の見込み額を試算するもの。
「これまで」の働き方・暮らし方については、ねんきん定期便に印刷されている二次元コードを使うことで、過去の正確な情報を試算に反映させることができます。
一方、二次元コードを読み込めない場合は、とたんに試算結果が心許ないものになるように思います。
というのも、この場合、働き方・暮らし方を手入力することになりますが、期間ごとに入力できる年収は「1つ」のみという仕様。
例えば、22歳から40歳までずっと働いてきたとしても、年収欄では「●●●万円」とだけ手入力することになります。
とはいえ、サラリーマンや公務員なら年収が年々増えることが一般的。
仕方がないので、これまで働いた期間の平均年収を入力するくらいしかできません。
しかし、これでは試算がさらに大ざっぱなものになってしまいます。
二次元コードが使えない場合は、「すごく大まかに年金見込み額のイメージをつかむ」という心持ちくらいがちょうど良いかも。
なお、現在、公的年金シミュレーターの二次元コードが載っているのは、①日本年金機構から、②令和4年4月以降に送付される、ねんきん定期便のみです。
公務員や私立学校教員にはそれぞれ別のところ(国家公務員共済組合連合会(KKR)など)からねんきん定期便が届きますが、そこには二次元コードは印刷されていません。
私も、当面は手入力による大まかな試算を甘受するほかないのです。
改善の余地あり、今後に期待!
と、いろいろ書きましたが、公的年金シミュレーターはあくまで試験運用中の状態。
利用者の声やニーズを反映して、利用者視点による改善を行う予定とされています。
改善意見は、厚生労働省の「国民の皆様の声」募集 送信フォームで受け付けられています。
意見が反映されて使い勝手が良くなり、多くの方が手軽にシミュレーターを駆使するようになれば理想的だと思います。
公的年金は今もこれからも老後の生活を支える非常に大事な制度。
維持発展には国民の皆さんの理解や信頼が必要不可欠です。
未だほとんど話題になっていませんが、公的年金シミュレーターは理解・信頼醸成の切り札となり得るのか!?
今後のゆくえに熱視線を送りたいです。