開店休業 インデックス投資Way

霞が関で働く国家公務員が、資産運用・NISA・iDeCo(個人型確定拠出年金)など、おカネについて綴ります。

本書に最も適した読者層は投資中級者、それに上級者と初心者です ~世界一ラクなお金の増やし方(NightWalker著)を読了~

このブログを読んでいただいている(くらいマニアックかつマイナーな)方であれば、もはや説明不要のインデックス投資ブロガー、NightWalkerさん。

そして、これまた改めて申し上げるまでもありませんが、そのNightWalkerさんが本を出されました。

世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめました

世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめました

 

 

2018年6月に出版されたばかりにもかかわらず、既に多くの方がブログで書評をアップしています。本の売行きも好調のようです。

「長期投資に出遅れナシ」とは本書のキーフレーズの一つですが、この書評記事について言えば「出遅れアリ」感満載です。

 

懐の深い本

さて、本書には、投資の習熟度に応じた、それぞれの味わい方があるように感じます。「懐の深い本」という印象。関取で例えるなら、さしずめ貴ノ浪関といったところでしょうか(古い)。

まず何よりも、インデックス投資の要諦が基礎から分かりやすく丁寧に解説されています。これから投資を始めようとする方にジャストフィットすること間違いなしです。

ですが、私のような少し手慣れた者にとっても、理解に背伸びを要する内容が多く含まれています。「現代ポートフォリオ理論」の説明部分なんてまさにそう。かなり噛み砕いた解説がなされていますが、それでも「初心者向け」という言葉では簡単に片づけられません。

また、読者の理解を容易にするため数多くのグラフが登場します。さりげなく対数目盛が使われていたり、見知らぬカーブが描かれていたりと、ド文系の私にはとても新鮮でした

そして、きっと投資上級者の方が読んでも、私には気付きようもない深遠なるメッセージに「なるほど!」と膝を打つことになるのでしょう。

つまり思うに、本書が想定する最適な読者層は、投資の中級者、それに上級者と初級者です(マークトゥウェイン風)

 

インデックス投資のエッセンスが詰まったフレーズたち

このように、本書は誰にでもおススメできるのですが、特に私の印象に残ったフレーズを3つ、ご紹介します。

どれも平易な言葉で言い表されているにもかかわらず、インデックス投資のエッセンスが凝縮されています

 

高値で始めたら損!? 

高値の時につみたて投資を始めても、そのうち損だったか得だったかわからなくなる 

(「世界一ラクなお金の増やし方」初版P85)

これ、本当にそう思います。私の経験上、まさに真実です。

確かに、積み立て投資を始めた直後は「上がった」「下がった」といちいち気になります。でも、やがて何が何だか分からなくなるのです(その明快な理由は本書にちゃんと書いてあります)。

また、「高値のときに投資を始めたら損だ」というのは、少なくない人が信じていることでしょう。しかし、それはあくまで一括投資に限った話。積み立て投資なら、常に「今」が始め時なのです。

この「投資の始め時」に誤解があるのは、「一括投資」と「積み立て投資」がごちゃ混ぜにされているからだと思われますが、そもそも投資の文脈では「Aでは当てはまっても、Bでは妥当しない」というケースは意外に多いのではないでしょうか。

個別株投資と国際分散投資についても然り。個別株投資では時に「損切り」が必要となる一方で、国際分散投資ではどんなに下落しても持ち続け、積み立て続けることが肝要です。

このように「投資」というだけで一括りにせず、クリアに分けて考えていきたいものです。

 

損して得取れ!

あくまで、損は一時的なものであって、いつか来るプラスリターンのための代償と考えられるかどうかが長期投資のキモと言えます。

(中略)

株式の長期投資は損して得取るための旅なのですね。

(「世界一ラクなお金の増やし方」初版P136 )

思わず「ですよね、ですよねー!」と叫びたくなりました。

というのも、以前、「カーリング」と「投資」の意外な共通点 という記事で同趣旨の主張をしたことがあるからです。

カーリングでは、不利な先攻時には「後攻の相手にあえて1点を取らせる」ことがセオリーとなっています。なので、このときの記事では「カーリングの『肉を切らせて骨を断つ』の考え方は長期投資に相通ずるものがある!」などと綴ったのでありました。

切り口は違えど、NightWalkerさんのような全てを知る方と同様の考えを持つに至り、とても嬉しいです。

 

サラリーマンの「つみたて力」 

そんな私たちにとってプロには絶対できない、たった一つのこと。それが、長期的視野に立って投資を続けること、暴落が来ようと動じないことなのです。

(「世界一ラクなお金の増やし方」初版P142) 

なるほど…プロのファンドマネジャーの場合、顧客からの解約注文には応じざるを得ないというわけです。たとえそれが自分の意思に反するものであったとしても…。

市場が落ち込んだ時期に投資を継続することができなければ、結果としてパフォーマンスを落とすことにつながりかねません。

一方、素人投資家のサラリーマンなら自分(と家族)の考えだけで積み立てを続けることが可能です。

つまり、積み立てによるインデックス投資は、毎月一定の収入があるサラリーマンの長所を最大限に活かした投資法だということ。これを利用しない手はない!と再確認したのでありました。

 

結びに…インデックス投資ナイトにて、ちょっとした後悔

先日の「インデックス投資ナイト2018」でのこと。

会場で早々にNightWalkerさんのお姿を目視確認するも、「本をまだ読んでないし…」という後ろめたさがあり、結局ご挨拶できずじまいでした(もちろん、ご本人はそんなことで気を悪くされる方ではないのですが…)。

ここ最近、「積読」をせっせと解消していたというのはただの言い訳。でも今となっては後の祭りです。

次にお目にかかったときには、ぜひとも直接感想をお伝えしたいなと思っています。