少し前になりますが、私と同じく霞が関で働いていた妻が国家公務員を辞めました。
我が家は公務員の共働きという、世間的に見てそこそこ「強力」な形態でした。
今回その一角に変化が生じたというわけです。
退職の理由
妻の退職には、ポジティブな理由とネガティブな理由、様々入り混じっています。
でもやはり、ネガティブ要因のウェイトが大きいようです。
最大の理由は「頑張っても制約あり勤務の職員が評価されない」というもの。子育て中の方、特に女性にとっては「あるあるネタ」かもしれません。
現在、我が家では一人息子を育てています。まだ小さく、いろいろ手がかかります。
一方、私はこれまでずっと仕事が忙しく、かつ、業務の予見可能性もありませんでした(国会対応がその代表例)。
なので、妻は週5日、日中フルタイムで働きながら、夕方以降のタスク(保育園・学童の迎え、晩御飯、お風呂、寝かし付け)をこなしてくれました。
一応、朝のお世話だけは私の役目ですが、負担感には歴然とした差があります。
特に「夕方何が何でも帰らなければいけない」というのはとても大きなストレスになります。
妻がいた部署はけっこう忙しいところでした。毎日退庁する際には上司・同僚に謝り、申し訳ないという気持ちを抱えてダッシュで保育園に向かわなければなりません。
私も何度か経験しましたが、それはそれは大変。毎日なんて想像を絶します。
妻はそうやって葛藤しながら仕事をしていても、周囲の理解や人事面のサポートが足りないと感じていたようです。
例えば…
- 相次ぐ霞が関の不祥事により、「再発防止」の名のもとに様々な業務が増えている(でも職員が増えることはない)
- 同僚からは「あなたのせいで自分が不眠不休になっている」と嫌味を言われる(これはこれで気の毒だけど体制の問題では)
- 仕事の内容や質は見てくれず「残業できない」というだけで組織に貢献していると扱われない(霞が関は残業前提の働き方が当たり前)
そんなある日、気持ちがプツリと切れてしまい、長く勤めた仕事からの転職を決意したのでした。
そこからは早かった。とんとん拍子で転職先が決まり、晴れて国家公務員辞職と相成りました。
夫である私はどう思ったか
はじめ、妻から「辞めたい」との話を聞いたとき、正直なところ「えー、もったいない!」と思いました。
何せ公務員と言えば、一般的に女性でも長く働けるとされている仕事。収入も安定しています。
仮に夫婦どちらかが辞める必要が生じたとしても、私が辞めた方が全体最適が図れるとすら思っていました。
しかし、ストレスで苦しんだり落ち込んだりする妻の姿は見ていて辛かった。
それに、そもそもの原因の一つは、私が「夕方以降のタスク」をほとんど代われなかったことです。
例えば、「週2日は私、週3日は妻」といった分担が今後保証されれば話は違ってきたでしょう。
でも、残念ながら私の働き方(働かされ方)は当面改善しそうにありません。申し訳ない限り…。
なので、最後は快く背中を押しました。
身内ながら優秀な人材なので、子育てに理解ある職場でもっと活躍してほしいとも思いました。
ちなみに、妻が人事に辞めることを伝えると、「後任が来るまで(=定例異動のタイミングまで)は居てもらわないと。仕事に穴を開けることになるんだぞ!」とかなり厳しく言われたとのこと。
結局、円満に辞めることを優先し、退職時期を予定より後ろ倒しにすることに。40日近くあった年次有給休暇をまったく消化できないまま職場を去ることになりました。
これすなわち、とある週の金曜日に退職⇒翌週の月曜日から転職先で仕事開始、ということを意味します。
うん、辞めて正解だな、そんな職場!
転職先のこと
なお、妻の転職先は非営利団体です。給料は3分の2以下になりました。
でも、それを補ってなお余りあるほど、働きやすい、そして働き甲斐のある職場のようです。
まず、社員の中に子育て中の母親がかなり多く、ほとんどの社員が定時退社しているそう。
また、コアタイムなしの完全フレックス制を採用しており、テレワークも自由自在。
そんな職場で、次第に社会的意義の大きい重要案件を任されるようになってきたとのこと。
もちろん残業できる・できないは一切関係ありません。以前より明らかに活き活きと働いています。
何より仕事の愚痴が実感として8割くらい減ったのも、聞き手である私にとっては非常に大きい。
今のところ、転職は成功だったと言えそうです。
なお、今回の転職により、少なからず家計に影響が出ました。しかし、投資額を減らしたりはしていません。
むしろ公務員から民間法人に転職したことで、妻のiDeCoの拠出額は月額12,000円から23,000円に増。何かちょっとうらやましい…。
ともあれ、自分もいろいろ考えさせられる妻の退職・転職劇でした。