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霞が関で働く国家公務員が、資産運用・NISA・iDeCo(個人型確定拠出年金)など、おカネについて綴ります。

「霞が関のリアル」のリアル

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先日、退職する後輩(若手)の送別会がありました。

退職理由を聞くに、いわゆる「不祥事対応」が相次ぎ、それらに忙殺されて心身ともに疲弊した、この仕事に先が見えなくなった、とのこと。

しかも、その不祥事自体は後輩に直接的な責任がないもので、要は尻拭いだけさせられたようです。気の毒でありました。

冒頭の後輩に限らず、今年7月の人事異動のタイミングでも、私の知る限りで数名の同僚が退職しました。その中には、花形ポストを渡り歩くなど、充実した役人生活を送っていると思われた「意外な奴」まで…。

もし若手が私たち先輩を見て「数年後・10年後にポジションが上がった先の姿があんなのでは…」「いつまでたってもあんな働き方をしなければいけないのか」などと絶望していたとしたら、それはとても残念で、悲しいこと。責任を感じてしまいます。

 

加えて、ここ最近、私の職場である霞が関」に関するネガティブ情報を耳にします。

前からあるにはありましたが、特にこの数か月はそれが顕著なように思います。

 

NHK霞が関のリアル」

急先鋒はNHK NEWS WEBの霞が関のリアル」という特集。今年の3月から不定期連載されています。www3.nhk.or.jp

 

この特集ではかなり突っ込んだ霞が関の実態が描かれていて、毎回その緻密な取材に感心することしきり。

なかでも特に目を引くのが、過酷と言われる勤務実態に関する記事で、ちょっと普通の人が聞いたら引いてしまう内容の数々…。

もちろんこんな非道ばかりではありませんが、リアルに起きているのは私の経験上からも確かです。

 

厚生労働省若手改革チームの緊急提言 

また、8月末、厚生労働省の若手有志のチームが厚生労働省の業務・組織改革のための緊急提言」を発表しました(本文概要)。

BuzzFeed Newsの記事がよくまとまっているので以下に紹介します。

「人生の墓場に入ったとずっと思っている」。厚労省の職員や退職者の叫びと改革への動きBuzzFeed Newsより)

 

この「組織の恥」をさらけ出したような提言はなかなか過激で、私の周りでもちょっとした話題になりました。

今後の厚労省の新人採用に悪影響が出ることも必至で、きっと人事は頭を抱えていることでしょう。

 

匙を投げることなく

確かに、霞が関の勤務環境はお世辞にもエクセレントとは言えません。

様々な制約があって柔軟に組織・定員を見直すことは簡単ではないですし、そもそも自分たちにお金(税金)を使うこと自体が批判の対象となります。

また、災害などがあれば個人の事情は二の次で対応する必要があります。

そして何より、与野党による日本最高レベルの権力闘争の渦中にいることで、他律的な業務が重くて多い。さらに、一つのミス・不祥事のハレーションが極端に大きく、「時の政権」を支える(「迷惑」をかけない)ために総力を挙げることになります。良いか悪いかは別にして…。

残念ながら、霞が関の勤務環境の課題は一朝一夕には解決しないだろう…というのが私の率直な感想です。

 

とはいえ、霞が関の仕事の「やりがい」は今もなお大きく、そこはまだまだ魅力的だと思うのです。

国全体の政策を企画立案し、国会議員との双方向のやり取りを経て実現していくプロセスはなかなかに刺激的。そして、それらは多くの方の生活に影響しますし、そうであるが故に注目度もケタ違いに大きい

ネガティブ情報がこれだけ広く発信されるのも、ニュースバリューが大きい(と思われている)からで、一私企業の「内部改革」がこれだけ取り上げられることは滅多にありません。

 

なので、ドミノ倒しのように優秀な若手が霞が関から離れたり、そもそも敬遠するようになっている現状は、国全体でみても損失であり、多くの人が危機感を持っています。

私もその一人ですが、考えようによっては、強烈なネガティブ情報が頻発していることはある意味「福音」。これらをあえて上手に「利用」することで、志ある人々と少しずつ勤務環境を良くしていければな~と思っています。

匙を投げることなく。

 

追記(2021.2.6)

リンク切れになっていたURLを削除するなど修正しました。