開店休業 インデックス投資Way

霞が関で働く国家公務員が、資産運用・NISA・iDeCo(個人型確定拠出年金)など、おカネについて綴ります。

iDeCoとつみたてNISA、1つだけ人に勧めるならどっち

f:id:unicorn5:20170925111841j:plain

 

SBI証券で「つみたてNISA」の予約受付を行いました。申込画面では口座番号などの簡単な情報をフォームに入力するだけで、あっさり完了。所要2~3分くらい。

今後は、10月中旬以降に「勘定変更依頼書」というものが送られてくるそうです。おそらくこれを送り返せば開設手続は終わり、ということなのでしょう。楽ちんであります。

 

さて、先日、投資経験ゼロの同僚から、「最近、『iDeCo』とか『つみたてNISA』とかいろいろあるけど、何からやればいいの?」と相談を受けました。

本音では「今すぐ2つ同時に始めるのが良い」と答えたいところです。しかし、手続の手間の制約やその同僚の性格上、まずは1つだけ勧めるのが得策と考えました。

であれば、iDeCoなのか、つみたてNISAなのか、どっちが良いでしょうか。私なりの考えを述べたいと思います。一部は実際に同僚に話した内容も含まれています。

 

私なら「つみたてNISA」を推す

iDeCoとつみたてNISAとのそれぞれの制度概要については、検索すれば比較表がたくさんヒットしますので、それらに譲るとして・・・

私なら「つみたてNISA」を推します。

所得控除の存在

まず、制度として「確実にお得ですよ」といえるのはiDeCoです。掛金が全額所得控除の対象となるというのは何せ大きい。

しかし、「所得控除」という仕組みの説明をするや否や、税制にあまり詳しくない人の拒否反応を招くかもしれません。実際はそれほど難しくないのですが…。

また、公務員の場合は年間14万4千円しか拠出することができませんので、節税できるのは3万円弱(所得税率+住民税率=10%の場合)。何が何でも享受しておくべきメリットとまでは言い切れないと考えます。

口座開設までの手続

この記事の執筆時点で、新規でSBI証券のつみたてNISA口座を開設する場合の手続手順は明らかとなっていません。しかし、過去の記事でも触れたとおり、iDeCo口座の開設手続はなかなか面倒でありました。つみたてNISAの手続がこの煩雑さを上回るとは考えにくい。

このため、手続に嫌気がさして同僚が途中でドロップアウトしないようにするためにも、つみたてNISAの口座開設に取り掛かってもらうのがベターと考えます。

「地雷」の数

この記事の執筆時点で、それぞれの制度下で購入することができる投資信託(取扱商品)の数をSBI証券の場合で比較すると、iDeCoは63件、つみたてNISAは71件でした。意外にも後者の方が選択肢は多いのです。

しかし、つみたてNISAは、投資信託の場合、「ノーロード(販売手数料ゼロ)」「信託報酬が一定以下」といった条件が課せられており、山崎元さんの表現を拝借すれば、比較的「地雷」は少ないと思います。

ですので、「一体何を買えば良いの?」と迷う同僚にあれこれ口を出さなくて済みそうです。私なら、次の最低限の「おススメ」だけ伝えて、後は自分で考えてもらうでしょう。

  • 「外国」とか「先進国」とか「全世界」という名前についている株式クラスの投資信託で、
  • 信託報酬が0.3%未満のものを買うべし

この助言は、我ながらとても乱暴で突き放したものだと思います。より丁寧なアドバイスをお求めの方には、NightWalkerさんの次の記事がとても参考になります。

 

なお、余談になりますが、記事の中でNightWalkerさんも「余談」として記されている以下の言及は私も全く同じ思いです。

今回の一覧を見ていて、唖然としたのは、予想されたことではあったにせよ、旧世代のインデックスファンドであるSMTシリーズや、旧eMAXISシリーズが、そのまま、ラインナップ上にあったことです。現時点で、信託報酬の値下げは、ないようです。

正直、ローコスト・インデックスファンドの時代の先鞭を付けた委託会社としての矜持というものを見せて欲しかったと思います。 

ムスコのための「つみたてNISA」商品研究 SBI証券編: NightWalker's Investment Blog

特に三菱UFJ国際投信…。狭い売り場で中身が全く同じ商品を違う価格で売るなんて、いったいどういう商いなのやら。

年間の投資額の上限

公務員の場合、iDeCoの年間の投資額の上限は、前述のとおり14万4千円です。一方、つみたてNISAは40万円。

どちらの制度も運用益が非課税になることを考えれば、つみたてNISAの方がよりお得なのは言うまでもありません。

ただ、のっけから年40万円まで投資を推奨できるかといえば、ケースバイケースになります。今回の同僚の場合、まずは月5,000円(年6万円)から始めてもらうのが良いと考えます。その際、「もしかすると、6万円が一時的に2~3万円くらいに減るかもよ」と伝えることも忘れません。

途中解約の可否

投資初心者にとっては、「途中で引き出せるかどうか」も大きな判断要素ではないでしょうか。

いくらiDeCoの「途中解約不可」という仕組みが「投資家想い」のものだとしても、「今後どんな場面でお金が必要になるか分からない」と考えている人にとってはやはり心理的ハードルは高い。

ただ、途中解約をできる限り避けた方が良いことは間違いありません。積み立てたファンドをしっかりホールドしておくことの重要性を説くとともに、拠出額は現状で無理のない範囲内に留めてもらうことが不可欠だと思います。

節約だ何だというのはその後から考えてもらえば十分でしょう。

 

手始めに、つみたてNISA

以上、ある特定のケースにおける私の実体験を基に、iDeCoとつみたてNISAの比較を行いました。

もちろん、相談相手の収入、年齢、性格、家族構成、投資経験値等の状況次第では、アドバイスはまた違ったものになると思います。その意味で、この記事の汎用性はあまり高くないといえます。

一方で、つみたてNISAは、長期・分散・積立・低コストというインデックス投資の王道から外れる方がむしろ難しい設計になっており、投資未経験者にはなじみやすい制度です。

なので、「手始めに」ということなら、私は基本的につみたてNISAをお勧めしていこうと思います。

まずは習うより慣れろ。そして、気持ちと家計に余裕ができてきたらiDeCoも利用してもらうのが一つの理想形です。