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霞が関で働く国家公務員が、資産運用・NISA・iDeCo(個人型確定拠出年金)など、おカネについて綴ります。

毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資(吊ら男著)を読了

著名インデックス投資ブロガー、吊られた男(吊ら男)さんが、満を持して本を出されました。 

毎月10分のチェックで1000万増やす!  庶民のためのズボラ投資

毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資

 

 

既に多くのレビューがなされていますが、遅ればせながら私も感想などを書かせていただきます。

 

1. 吊ら男さんと私

吊ら男さんのブログ「吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)」は、よく読ませていただいている投資ブログの一つです。国内株式、先進国株式、新興国株式の3クラスで構成するアセットアロケーションを参考にさせていただくなど、いつも自分の投資スタイルに大きな影響を与え続けてくれています。

先日のインデックス投資ナイト2017で初めて「実物」を拝見し、2次会で名刺交換させていただきました。

今もなおこちらから一方的に存じ上げているだけの関係ではありますが、サラリーマンでありながら、プロのようにオープンな場で活躍される姿には、憧れと敬意を抱いています(自分には到底マネできません…)。

 

2. ネーミングの妙

本書では、長期・分散・低コストによる投資を「ズボラ投資」と呼んでいます。ズボラ…キャッチーでありながらたった一言でいろんな要素を言い表す絶妙なネーミングです。

ですが、ふと考えました。私なら何と名付けようか、と。オリジナルのネーミングを提唱したいぞ、と。

しかし、残念ながら、本質を突いた名前がぱっと頭に思い浮かぶほどのセンスは私にはありません。以下、甚だ僭越ながら、何とか捻り出したネーミングの数々をご紹介します。

  • 「ズボラ」や「ほったらかし」のように、「手間のかからなさ」という点に着目して名付けるなら、「お任せ投資」「時短投資」「のび太投資」など。最後のは、本書でたびたび「布団で寝ながら解説する人」の挿絵が登場することからヒントを得ました。
  • 「分散」を強調したいなら「ショットガン投資」。アメリカンフットボールのショットガンフォーメーションを参考にしました。が、先例がないか検索したら短期売買を繰り返す投資法としてヒットした…。
  • 市場の平均を目指すという切り口で「ど真ん中投資」。他には「どストライク投資」とか。
  • コツコツ感を醸し出して「ノコノコ投資」。マリオシリーズのあの亀のことですね。

・・・と、わざわざブログで開陳するほどの価値がない名前ばかりですが、これからも懲りずに考えていくつもりです。未経験者にとって抵抗があるかもしれない「投資」という言葉を使うかどうかも検討の対象です。

そうこうしているうちに、ある日突然ものすごいコピーが頭の中に舞い降りてくるかも…。

 

3. 本を一冊書くことのすごさ

吊ら男さんのブログには、複雑なシミュレーションを行ってインデックス投資の有用さを実証するなど、投資経験者にとって大変参考になる記事がたくさん掲載されています。

一方で、本書はどちらかといえば、経験者には基本的なことが大部分を占めています。

それらを分かりやすく整理してくれているので、私も改めて初心に立ち返ることができたのは言うまでもありませんが、ブログと本書とのギャップに接して私が思ったのは、「良い本を書く人は、その本の内容の何倍もの知識や考えをお持ちなのだなあ」ということ。

情報量やターゲットとする読者層などいろいろな戦略や方針や制約があって、ある一冊の本に収斂していくのだと思いますが、そのためには溢れんばかりのバックグラウンドが必要なのですね。

 

4. 本書のハイライト

ようやく本の中身についてですが、一言だけ。私が思う本書のハイライトは、「損」について分かりやすく、具体的に触れている点です。

投資に躊躇している人の多くは「損が怖い」という理由があると思いますが、その損のイメージを持つことができれば一歩踏み出せる人もいるはず。

本書は、リスク許容度(ソンの許容度)について詳しく記載されており、さらに、そこから「投資可能額」を計算できるようになっています。

「50万円投資した場合、最悪でも、短期的には30万円損するくらいだったらまあいっか」と具体的に考えることができれば、「投資を始める」という最大の壁を乗り越えることができると思うのです。

 

5. 投資初心者にはまず本書を薦める

これまでインデックス投資に関心を持っている人には、山崎元さん・水瀬ケンイチさんの共著「全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)」を勧めていました。

私の場合、少しインデックス投資をかじった後でこの本(改訂前のバージョン)を読んだのですが、そのときに初めて投資信託ETFの違いを知ったり、リバランスの考えを学んだりするなど、とても有益でした。

ただ、共著ということもあり、例えば、それぞれが推奨する生活防衛資金の水準に大きな開き(3か月分と2年分)があるなど、当時の私には「どっちなの?」と思うこともありました。

吊ら男さんの本書は、更に基礎的なことに特化されているので、今後、インデックス投資初心者にはまずこちらを勧めることになりそうです。

そして、その後、間髪入れずに「実践ガイド」である「ほったらかし投資術」を読んでもらえば、「黄金リレー」による基礎固めができるのではないかと思います。