開店休業 インデックス投資Way

霞が関で働く国家公務員が、資産運用・NISA・iDeCo(個人型確定拠出年金)など、おカネについて綴ります。

一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo活用入門(竹川美奈子著)を読了

インデックス投資業界の著名人であり、何冊も資産運用に関する本をお書きになっている竹川美奈子氏のiDeCo入門書を読みました。

竹川さんの本を読むのはこれで2冊目になるのですが、本作も分かりやすい語り口で、それでいて私のような「少し知っている人」でも十分満足できる内容となっています。確定拠出年金でも「個人型」に特化して、制度の隅々まで網羅的に、そして深いところに至るまで具体的に解説がなされており、これからiDeCoを始めようという人にはまさに最適の一冊であると思います。

個人的に「目から鱗」だった新発見は以下の3点です。

1.口座管理手数料は毎月の掛金から差し引かれる

今まで知りませんでしたし、気にもしませんでしたが、公務員である私の場合、12,000円ポッキリが毎月の給料から天引きされるわけなので、それはつまり、「口座管理手数料込み」ということなのです。このことは、ますます口座管理手数料の多寡が重要だということを意味します。

私は既にSBI証券の申込書類を提出しており、口座開設待ちの状況ですが、口座管理手数料が「167円」という業界最低水準になるのは資産残高が50万円以上になってから。毎月の積立額が12,000円である私の場合、資産残高が50万円以上になるまでの間、つまりiDeCoでの積み立てを始めてから3年5か月(41か月)の間、業界最低水準より324円高い「491円」が12,000円から差し引かれることになります。

「324円」という額はコーヒー1杯分くらいの額に過ぎず、一見、大したことないかもしれませんが、41か月間で324円×41か月=13,284円分が投資に回せないということになります。「コストに敏感なインデックス投資家」の一人と自称する私としては、「無視できないボリュームだなあ…」と思わずにはいられません。

誤解のないように付言すると、このSBI証券の口座管理手数料「491円」は、それだけでも他の多くの証券会社と比べて極めて安い水準です。しかし、ライバルである楽天証券では、口座管理手数料が「資産残高10万円未満の場合で393円、資産残高10万円以上の場合で167円」と設定されていることと比較すると、どうしても見劣りしてしまいます。SBI証券を長年利用してきたユーザーとして、今後のSBI証券の英断に期待しています。

2.保険商品の活用法

本書は、受け取り時期が近付いたときの預け替え先の安全商品として、保険商品を候補として挙げています。私は「保険」と聞いただけで、「コストが高い」「割高」などと決め付けてしまうのですが、定期預金よりも金利が高いことが多い、60歳以降に解約するときの中途解約ペナルティーがない、などのメリットがあるとのこと。

iDeCoに限らず、運用の出口戦略は誰もが悩むところです。せっかく投資を続けてきたのに、投資信託を解約して現金にするときにリーマンショック時のような暴落が起こっていたら、自己責任とは言え悲しいものがあります。

そのため「年齢が上がるにつれ、自分のアセットアロケーションにおいてリスクの高い商品の割合を減らしていくのが良い」としばしば言われるわけですが、「iDeCoの資産を安全資産に預け替える場合の選択肢として保険商品がある」ということは、応用が利きそうな考え方として覚えておきたいと思います。

3.退職手当のことを調べておく必要性

田村正之さんの「はじめての確定拠出年金」でも、受給時のことは丁寧に書かれていましたが、税制上有利な受け取り方をするには、さらに細かなルールを理解しておく必要があるようです(役人のはしくれとして、一度、法律や政令の条文ベースで確認したい気もします)。

さらに、その前提として、自分の退職手当について「いつ」「どのように」「どれくらい」もらえるのかをしっかり調べておくことが重要となってきます。これらをすべて把握したうえで、トータルでベストな受給方法を選択したいものですが、まだ先の話ということもあり、残念ながら今すぐ詳しく勉強する気にはなれません。自分が退職する頃はさらに制度が変わっている可能性もあります。

ただ、いざ自分が年金や退職手当を受け取る段階になったときには、極めて複雑でテクニカルなシミュレーションを要する(場合によっては、税制や社会保障制度に精通した専門家への相談が必要となる)という「覚悟」をしておくだけでも、現段階では十分ではないかと思っています。